前回に引き続きレオンス・ボッケ・セラーのお話をしたいと思います。あまりにも膨大なセラーの建設費用がかかった為、破産に追い込まれたLeonce BOCQUET(レオンス・ボッケ)。そして、そのセラーを引き継いだのはブルゴーニュ・マニアに今でも語り継がれる人物、かの<ドクター・バロレ>でした。
Albert Barolet(アルバート・バロレ)は1898年にボーヌにて生まれました。医学の道を進み、若い時は医師としてキャリアを積んでいました。しかし、父親であるArthur Barolet(アルテュール・バロレ)がワインビジネスを創業した事により、今までのキャリアを捨て、父のビジネスに加わる事になりました。
医師の頃より、彼のワインのテイスティング能力には定評があり、当時としては珍しいビジネス・モデルでしたが、成功させるのにさほど時間がかかりませんでした。厳選した特定のブドウ農家と契約し、醸造法などを細かく指示。樽で買い付け自身のセラー(レオンス・ボッケ・セラー)で熟成させ、ボトリングを行い、完璧な状態で顧客に販売していました。医師時代からのコネクションで良い顧客を持っていたので、評判は広まり、知る人ぞ知るコレクター・アイテムとなりました。
1969年71歳の時に彼が死去した時には、セラーには16万本ものワインが眠っていたと言われています。アルバート・バロレは生涯独身で妻子なく、その膨大なコレクションは2人の姉に引き継がれました。高齢な2人の姉はワインと地下邸宅にあるレオンス・ボッケ・セラーをも丸ごと売却する事を望みました。そして、その伝説のセラーと膨大な数のワインはスイスのアンリ・ヴィラモン社に引き継がれます……
因みにその年に、膨大な数のワインのコンディションの良い物を厳選して
クリスティーズのオークションに出品されたのが有名な<ドクター・バロレ・コレクション>で今でもマニアが血眼になって探し続けています。
次回は、その伝説の<レオンス・ボッケ・セラー>を訪問してレポートしたいと思います!
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