ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの共同経営者であるオベール・ド・ヴィレーヌ氏とカリフォルニア州カーネロスにあるハイド・ヴィンヤードのラリー・ハイド氏が共同で2000年にハイド・ド・ヴィレーヌを立ち上げた事をご存知の方は多いかと思います。ヴィレーヌ氏の妻パメラがラリー・ハイド氏と親戚関係だった為、こちらは実現した様です。
そして今年、同じくブルゴーニュを代表する造り手コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエの醸造責任者フランソワ・ミエ氏がニュージーランドのプロフェッツ・ロックにてブルゴーニュ以外の土地で初めてワインを造りました。こちらはプロフェッツ・ロックの醸造家のポール・プジョル氏が修行時代にコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエの元で教わった経験があった為、実現した様です。
元々は1979年パリにて行われた<ワイン・オリンピック>に出場したジ・アイリー・ヴィンヤードがブラインド・テイステイングのピノ・ノワール部門にて一躍世界に名を轟かせ、絶対王者ブルゴーニュの名門ジョセフ・ドルーアンの一部のワインのポイントよりも僅差上回る評価を受けました。当時は絶対王者としてプライドを深く傷つけられたジョセフ・ドルーアンですが、その後オレゴンに土地を購入し、現在ではオレゴンのピノ・ノワールを世界に広めた立役者になっています。
この様なきっかけでフランスワインの造り手が海外にてワインを造りはじめていますが、近年の理由は違う様です。グローバル化が進み、常に品質が一定の新興国のワインが台頭してきている中、葡萄を熟させて均一に加工したワインでは無く、フランスワインの多くの生産者は栽培地ごとのテロワール(土壌)を反映させたワインを造り続けています。
素晴らしい反面、テロワールを反映させている以上は畑を拡張出来ず、葡萄の収量を絞らなければいけません。限られた区画の中での限られた本数、現在のワイン価格の上昇を考えると、他地区や他国でのワイン生産はやむを得ないのです。有名生産者が他地区や他国で造ったワインを飲んだとしても、その生産者のワインを本当の意味で知る事は不可能です。
ワインのグローバル化で世界的にワインの需要が増えるのは嬉しい事ですが、テロワールが反映されている正しいワインを飲まずして、ワインと思う人、ワインを語る人が増えていく事を思うと残念でなりません。キチンと知った上でワインの素晴らしさを伝えて欲しいと思います。
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